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名古屋地方裁判所 昭和61年(わ)1995号 判決 1987年3月04日

本店所在地

東京都新宿区西新宿六丁目一四番一号

株式会社ブイ・アイ・ピー

(右代表取締役 山本和憲)

本籍・住居

愛知県海部郡美和町大字富塚十の坪六五番地の四

会社役員

山本和憲

昭和二六年三月二五日生

右の者らに対する各法人税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官岡崎真喜次出席のうえ審理をして、次のとおり判決する。

主文

被告人を株式会社ブイ・アイ・ピーを罰金二五〇〇万円に、

被告人山本和憲を懲役一年に処する。

被告人山本和憲に対し、この裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人株式会社ブイ・アイ・ピー(以下「被告会社」という。)は、昭和六〇年一〇月六日まで、名古屋市中村区名駅南一丁目一七番二八号に本店を置き、次いで東京都新宿区西新宿六丁目一四番一号に本店を移転して、語学教材販売を営んでいるもの、被告人山本和憲は、被告会社の代表取締役としてその業務全般を統括しているものであるが、被告人山本和憲は、被告会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、業務委託費を架空計上する方法により所得の一部を秘匿したうえ、

第一  昭和五七年八月四日から昭和五八年七月三一日までの事業年度における被告会社の実際の所得金額が一億五五八八万六五一一円であり、これに対する法人税額が六四二四万九七〇〇円であるのに、昭和五八年九月二二日、名古屋市中村区太閤三丁目四番一号所在の名古屋中村税務署において、同税務署長に対し、所得金額が一億五四八万六五一一円でこれに対する法人税額が四三〇八万三七〇〇円である旨の虚偽過少の法人税確定申告書を提出し、被告会社の右事業年度における正規の法人税額との差額二一一六万六〇〇〇円を免れ、

第二  昭和五八年八月一日から同五九年七月三一日までの事業年度における被告会社の実際の所得金額が三億九〇五万五七七八円であり、これに対する法人税額が一億三一一五万一七〇〇円であるのに、昭和五九年九月二〇日、前記名古屋中村税務署において、同税務署長に対し、所得金額が一億三九四九万二一七八円であり、これに対する法人税額が五七七四万三五〇〇円である旨の虚偽過少の法人税確定申告書を提出し、被告会社の右事業年度における正規の法人税額との差額七三四〇万八二〇〇円を免れ

もって、それぞれ不正の行為により、法人税を免れたものである。

(証拠の標目)

判示事実全部につき

一  被告会社代表者兼被告人山本和憲の当公判廷における供述並びに同人の大蔵事務官に対する各質問てん末書及び検察官に対する各供述調書

一  登記官作成の閉鎖登記簿謄本及び登記簿謄本

一  松浦大明の大蔵事務官に対する各質問てん末書及び検察官に対する供述調書

一  加藤茂樹の大蔵事務官に対する各質問てん末書及び検察官に対する供述調書

一  利川勇こと徐勇の大蔵事務官に対する各質問てん末書及び検察官に対する供述調書

一  坂下一郎の大蔵事務官に対する質問てん末書及び検察官に対する供述調書

一  青山和由、千田一文及び吉田実の大蔵事務官に対する各質問てん末書

一  大蔵事務官作成の各査察官調査書(業務委託費等の過大計上について、預金等について、貸付金について、仮払税金について、会社が負担した住民税について、対象販売員の五八年分申告について)及び脱税額計算書説明資料

一  株式会社協和銀行笹島支店支店長作成の保護預り口座設定申込書(兼)証券取引印鑑届・国債定期口座印鑑届等の写一綴

一  水谷嘉弘作成の上申書

一  辻真一郎作成の総合届出印鑑等の写一綴

判示第一の各事実について

一  名古屋中村税務署長作成の自昭和五七年八月四日至昭和五八年七月三一日事業年度分確定申告書写及び修正申告書写

一  大蔵事務官作成の右事業年度分の脱税額計算書

判示第二の各事実について

一  名古屋中村税務署長作成の自昭和五八年八月一日至昭和五九年七月三一日事業年度分確定申告書写及び修正申告書写

一  大蔵事務官作成の右事業年度分の脱税額計算書

一  大蔵事務官作成の各査察官調査書(租税公課及び未納事業税について、受取利息等について)

(法令の適用)

一  被告会社につき

判示各所為は、いずれも法人税法一五九条一項、一六四条一項に該当するところ、情状により同法一五九条二項を適用し、以上の各罪は、刑法四五条前段の併合罪であるから、同法四八条二項により各罪の罰金の合算額の範囲内で被告会社を罰金二五〇〇万円に処する。

一  被告人山本和憲につき

判示各所為は、いずれも法人税法一五九条一項に該当するところ、以上の各罪は、刑法四五条前段の併合罪であるから、同法四七条本文、一〇条により犯情の重い判示第二の罪の刑に法定の加重した刑期の範囲内で同被告人を懲役一年二月に処し、同法二五条一項を適用してこの裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予する。以上の理由により、主文のとおり判決する。

(裁判官 土川孝二)

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